<夏の学校>
今年で3年目だった「夏の学校」が無事に終了しました。
「夏の学校」は、小学生を対象にスクエアビーがおととしからはじめた、
“夏休みに通う、学校代わりの、学びと交流の場”です。
一か月以上続く夏休みは、子どもの生活が不規則になりがちです。
夏休みも後半になってくると、地域の朝のラジオ体操もなくなり、
学校のプール開放も終わり、遊びに出かける場所もネタ切れ、
夜更かし朝寝坊がひどくなってくる子も多いのではないかと思います。
その結果、9月を迎えるころには、すっかり体もなまったり弱ったりして、
学校へ通うのがつらくなってしまう子どももいます。
親の方も、夏の疲れが出て、体力的にも精神的にもつらくなってくる
ことがあるでしょう。「夏休みがつらい、はやく終わって
子どもが学校に行ってほしい」そういった声は、あちこちで聞かれます。
「夏の学校」は小学生の子どもたちが
- 夏休みが終わるまで、毎日規則正しく
- 仲間と一緒に自律的に創造的に
- 学習する時間や、頭や手を使う作業をとおして
楽しく過ごす場を目指して行っています。
子ども達だけではなく、親にとっても大切な場であると考えています。
共働き家庭のためには、学童保育が夏休みも子どもを見てくれています。
しかしそうした制度を利用できるのは、かなりフルタイムに近い形で
共働きしている家庭に限られます。
学童保育利用の規定に満たないパートタイムの場合、子どもの夏休みを機に
仕事を辞めるか、夏休みの日中を子どもだけで過ごさせながら仕事に出るか、
そういった選択を迫られる親も少なくないと思います。
また、子どもをずっと見ていられる親にとっても、終日子どもの
世話をしてあちこちに連れて行ったりする生活が一か月以上続くことは、
体力的にも精神的にもとても疲れるものだと思います。
長い夏休みの間、親の就業形態に左右されず、どんな子どもも利用できる、
通常の学校に近い機能をもった場所があれば、子どもも大人も
健やかに規則正しく過ごせる、
「夏の学校」は、そうした需要をとらえ、夏休みのほぼ全期間(お盆の週を除く)
開校しています。
そして、参加した子ども達からは、毎年、
「すごく楽しかった」
「毎日来たい」
「来年もやってほしい」
という声がたくさんあがっています。
学年の枠をこえ、10名程度までの少人数で過ごす一日は、子ども達が
助け合い、アイデアをシェアし、ともに楽しむ時間となっています。
今年度は、より充実した時間をもてるように、時間を区切って、
午前と午後に小一時間ずつのワークショップを設けました。
午前のワークショップでは、個々に工夫しながらクラフト制作などをしました。
午後のワークショップは、子どもたちと簡単な道具を作り、それを使って、
子ども同士工夫して遊ぶ、というのを促すようにしました。
遊び方を大人が教えるのではなく、限られた道具でいかに面白く遊ぶかを、
アイデアを出し合って遊ぶのです。
子どもたちはツボにはまると、いろいろ工夫したり考えを出し合ったりして
活動しますが、中には「こんなんであそべなーい」
と、不満をもらす子も時にはいます。
そんなときは、
「そこを考えて楽しむのは自分次第!」
と伝えるようにしています。
「夏の学校」は“考える練習”の場でもあります。
「考える」というのは、必ずしも授業でやる勉強のようなものでなく、
人との関わり方であったり、限られた環境や道具の中でいかに工夫して面白いものを
発見したり創り出していくか、ということあったりします。
考える機会の少なかった子は、大人になってからも考えることが苦手だったりします。
自分がいかに生きるか、楽しむのもそうでないのも自分次第、ということを
少しでも学び取り、これからの長い人生を幸せなものにしていってほしい、
そんな風に思っています。
「夏の学校」で学び、体験したことが、子どもの成長の貴重な1ページとして
積み重なっていってくれたら、と願っています。