教室の目指す英語力
新学習指導要領・新しい大学入試との関係
そしてクラスの子どもたちのようす
ニュースでも伝えられているように、2020年度から新学習指導要領がスタートします。
小学校から大学までの、一貫した学びのありかたを示した、言い換えると、大学入試に初めて
メスを入れた大きな教育改革です。
英語についていうと、これまでの、使える英語(実用英語)と受験英語がかけ離れていた
ことにより、日本人の英語力が国際社会で低い位置にある、という問題を解決するため、
大学入試の英語試験で、受験英語イコール実用英語となるよう、4技能(読・書・聞・話)
試験にするというものです。それにともない、小学校3年生から英語が必修化されます。
この大改革は、単に国際社会に追いつくため、ではありません。
今の小学生が新社会人となって仕事を始めるころには、現在の仕事の半分くらいが自動化
され(AIにとって代わられ)ると言います。わずか十数年先の話です。
子どもたちが生きていくために必要とされる能力について、急ピッチで大きく考え直さな
ければいけません。
これまで試験で計られてきた、知識・技能は、それだけでは何も生まないものとなり、
それを使ってどうするのか、それにより世界とどう関わって生きるかを考え出す能力、
自分で状況判断して行動を決めていく力が必要になってきます。つまり、学習においては、
知識や技能を、実際に使いながら行動しながら身につけていくことになります。
スクエアビー英語教室においても、教えたことだけを覚えて再生できるようになる、という
力は目指してはいません。
自立的に状況から発見し、学び取り、行動できるようになる、そういった英語力を目指し、
日々活動しています。
最近のクラスでの生徒の様子から、どのように学習をしているかの一端を見ていただくことが
できるのではないかと思います。
<小学校2年生K君>
2年生の春から、フォニックス(音と文字の関係)を学んでいます。
「音のたしざん」というので、フォニックスの原理を使って、3文字単語をはじめて
よんでみました。
[b]+[a]+[g]=[bag](※単語での音です)
それを聞いたK君は、
「あー!!そういうことなんだ~!!」
と思わずさけびました。
bはビー、aはエィ、gはジーとよんでいたら、それだけでは自立的に単語を読むことは
できません。
K君は英語学習の階段を一段上がりました。面白さを発見し、自分の力で読める自信と
出会い、次の学習がさらにスムーズに進んでいくことでしょう。
<小学校2年生Mさん>
会話教材の中で、Do you~?と Are you~?が続けて出てきました。
まだ英語の文を文字で読むことはできないので、音から学んでいます。
この二つがどういう違いかわかる?とためしに聞いてみました。
Mさんは「Do youは好きかとか聞くとき、Are youはhappyかとか聞くとき!」
と答えてくれました。
この感覚!すばらしい!!
従来の中学英語では、一般動詞とbe動詞のちがい、と教わります。
文法から事例を学ぶか、事例から法則を推測するか、の学び方の違いです。
どちらがよくてどちらがわるい、ということではないけれど、Mさんの発見は、
「ことばってそういうものよね!!」
と思わせてくれます。私たちはみんな母語である日本語をこうしたやり方で身につけてきた
はずです。
こんなふうに、レッスンの中で、英語のやりとりを何度も聞いたり答えたりしているうちに、
自然と感覚が身について、Are you study? のような言い方はない、というのが
わかるようになるのです(←中学文法から学んだ生徒には、よく出現するタイプの誤りです)
同じように、最近ではテレビでLet’s cookingとかLet’s beautifulとか(わざとでしょうが)
言っているのを耳にしますが、そんな言い方は本当はしない、居心地悪い英語だ、と
自然にわかるようになる、それが「身につく」ってことで、単なる知識をこえた、
一生ものの感覚なのだと思います。
<園児年長のS君>
学び取って自分の目的に使う力は、もっと小さいころでも発揮されます。
クラスの中で、時々ゲームのようなことをするのですが、子どもはハマると、
何度でもやりたがります。ゲームによる学びが、盛り上がりすぎてただの遊びになって
しまわないよう、いろいろなバランスを考えた学びのアクティビティを用意しているので、
ゲームを切り上げようとすると、
「One more time! One more time!」
とS君が叫び出しました。
これも、特にめざして教えた表現ではないのですが、ふだんのレッスンの中から、
自然と覚えていたのでしょう。
そんなふうに、ごく自然に出てきた表現に、私もうれしくなって、もう一回だけやろう!
とゲームを続けたのでした。
<小学校3年生のFさん>
当教室では、夏休みに小学校3年生以上の生徒は、自由参加で平和記念公園へ英語の
インタビューに行く活動をしています。
いきなり英語でインタビューして、と言ったら、もちろんですが、どうしていいか
わからないという子がほとんどなので、行く前にはチャンツ(メロディーのないリズム唱和)
や歌を使ってインタビューの流れを覚え、教室で何度も練習した後、活動に出かけます。
公園に観光に来ている外国人に、インタビューしてもいいか、声をかけるのですが、
子どもたちは初め、これがはずかしくてなかなかできません。
なので、この部分は先生である私が、
「英語の練習のため私の生徒が1、2分の短いインタビューに答えてくれる人を探して
います、大丈夫ですか?」と英語で声をかけて行っています。
しばらくしてインタビュー活動に慣れてきたFさんが、自分で行動を開始しました。
私から離れ、
「Short interview, OK?」
といって、近くにいた外国人に声をかけ、私の助けなしでインタビューを成功させました。
このフレーズは、私が教えたものではなく、私がどんなふうに声掛けをしているのか、
見て聞いて学び取ったものです。Fさんは、私が話している内容から、自分が理解でき、
使えそうなフレーズをぬきとって自分のものにしたのでした。
「これこそ学び!!」
私はとても感心しました。
Fさんの行動をきっかけに、他の子たちも私から離れ、子どもたち同士で協力しながら、
何人もの人にインタビューしてくることができました。
これはけっして私が指示したことではなく、自発的な動きでした。
教えたことだけ、おうむ返しに言えるようになるのではなく、自分がやりたいこと、
コミュニケーションしたいという意欲にもとづいて、使えるものを学び取り、
そしてそれを使って行動できるようになる力、それこそスクエアビー英語教室が
本当に育てたい英語力であるし、また新学習指導要領が目指すものでもあるのです。