カナダ人との会話に登場したことば
「○○はマッチョ」
さて、○○に入る言葉はなんでしょう?
これは、私が外国語を学ぶって面白い!と思った
エピソードです。
母語だけで生活していると気づかないことが、
外国語を学ぶことで気づき始めます。
さて、〇〇の答えですが・・・・
正解は「リス」
え?って思いませんでしたか?
私はこれを聞いたとき、「リスがマッチョ??」
って、思いました。
私のイメージでは、リスはかわいらしく、ふわふわして
どちらかというと、か弱い感じすらあります。
どういうことなのでしょうか?
この会話をしたのは、カナダのトロントでした。
トロントは大都会ですが、ダウンタウンに近い公園や
住宅街に、たくさんリスが住んでいます。
こげ茶や灰色をした、体長25センチくらいある(しっぽ含めず)
大きなリスです。
リスなんて見慣れない日本人にとっては、「かわいい!」と
ハートの目で見るのですが、トロントの人はどうも、違った目でこの
リスをみているようです。
なぜなら、このリス、街中に住んでいることもあり、電線をつたって
走りまわったり、公園や住宅のごみ箱に頭を突っ込んだりして、
とにかくたくましいのです。
カナダ人にとっては、この種のリスは、リスというよりは
ネズミ、のように見えている人もいるようでした。
で、私が「日本人にとって、リスってかわいいよ」と伝えると、
「それは、違う種類の動物でしょ?」と言われたのでした。
私は子どものころ、シマリスを飼っていたことがあり、
トロントの街を走りまわっているリスも、その仲間、というふうに
見ていました。
しかしシマリスに似た、手のひらにも乗るような小さな動物が、
カナダにもいて「チップマンク」と言われる種類だそうです。
ディズニーに出てくるキャラクター「チップとデール」がそうです。
カナダ人に言わせると、街中にいる大きなリスと、チップマンクは、
まったく違う動物だそうです。
多分ですが、日本人がネズミとリスを異なる動物と認識している
くらいの度合いで、この二種類の動物は、カナダ人には異なる生物
なのでしょう。
つまりどういうことか・・・
日本語と英語で、「リス」という単語が表す範囲と、
言葉のもつイメージがちがう、ということなのでしょう。
リスがマッチョ?
そういう目で、トロントにいるリス達を、よーくながめてみました。
彼ら、ホントに腕にでっかい筋肉がついているんです。
そっかー、カナダのリスは確かにマッチョだ。
動きもすごく力強いし。
さて、まとめです。
外国語を学ぶと、日本語とは、ある単語が表す範囲がちがう、ということに
いろんな場面で気づきます。
それから、ある単語で想起されるイメージも、実は違うのです。
日本語と英語の完全バイリンガルの人に聞くと、
「家」と「house」の持つイメージは、まったく異なるそうです。
だからこそ!
外国語を学ぶということは、「自分の常識が、常識ではないかもしれない」
ということに気づける、絶好の機会となります。
極論を言えば、使う予定のない外国語でさえ、学習する意味がある、ということです。
こんなふうに、世界を切り取って見ている人たちがいるのか~、というのを、
異言語に接することで、知ることができるのですから。
物事を柔軟にとらえ、問題が発生したときにいろいろな解決法を考える、
理解しづらいものごとに出会ったとき、視点を変えてみる、
だれかと考えの違いで衝突したとき、相手が間違っていると決めつけず
受け入れてみて、お互いが共存する方法をさぐる・・・
そういった、現代をよりよく生きるために必要な能力を、
外国語学習は、余すところなく与えてくれるように思うのです。
すっかり話が発展してしまいましたが、
「マッチョな○○」から、私が気づいたことです。