母語(日本語)にない音を自然に聞き分けられる能力は、
生後1歳未満で消失してしまう、ということが研究の結果わかっています。
1歳を過ぎると、母語にない音は整理されて切り捨てられていく、
という脳の仕組みがあるようです。
では、1歳を過ぎてしまったらもう、外国語の音を聞き取り、
よい発音で話すことはもうできないということなのか、というとそうではありません。
「自然に聞き分ける能力」は赤ちゃんのときだけ、という意味であって、
その後もいくらでも学習次第で身に着けていくチャンスはあります。
幼児期に入ると、早くも、聞こえた音に近い音ですぐに再現できる子と、
そうではない子の差が出てきます。
もちろん音に対する感受性の高さは、小さい子どもの方が有利です。
聞こえたものからの学習が優位な時期は、8歳くらいまで続きます。
発音が苦手、聞こえた通りに再現できない、という人は、
日本語の音の枠組みに置き換えているのかもしれません。
そのまままねをするより、一段階ステップを多く踏んでいる、自分なりの解釈に一度引き込んでいる、
そういう意味では一種「賢さ」の表れであるということができるかもしれないと思います。
では、発音の苦手な人が上達するには、どうすればいいのでしょうか?
子どもの場合、音からの学習が優位だと書きました。
小さなお子さんがCMソングなどを意味も分からず丸覚えするのを感心した経験がある方も多いでしょう。
そう、これはヒントです。
一つ一つの単語に注目せず、音と音が混じったりつながって聞こえる、
そのままをリズムと一緒に覚えてしまうのです。
はじめは、めちゃくちゃに聞こえるかもしれません。全然正しく言えてないと。
しかしリズムを重視して、細かいところはごまかして言う、ぐらいからのスタートでかまいません。
細かい部分を気にしないことで、逆にその言語の独特のリズムや音のつながり方を、
体にしみこむように覚えることができると思います。
小さいお子さんに「今日なに覚えた?」「〇○って英語でなんていう?」といった質問は、
あまりしないほうがいいと言われています。
子どもはその場面全体の雰囲気で、まとまりとし記憶しているため、
分割された細かい質問をしても「うーん、よくわからない」と答えることが多く、
子どもにとって負担だったり混乱させてしまったりするからです。
さて、英語でいくつか歌を歌えるようになったら、さらにいろいろな英語歌を聞いてみましょう。
中学でも習わないような単語が入ってる、とか、辞書にも乗っていない単語が入っている、
という歌でもかまいません。子どもの歌や絵本にはよくあることです。
子ども向けに作られた楽しい歌なら、「楽しい」「なんか面白い」というところから入っていくことができます。
そしてすこし大きくなってきたら(小学校中学年くらい)、「シャドーイング」という方法を
取り入れてみてもいいかもしれません。
CDから聞こえてくる文章を、聞こえたらすぐ真似をして、「影(シャドー)」のように後ろから追いかけて
発話する練習です。
小さいころいろいろな英語歌を聞いたり歌ったりしたことがあれば、シャドーイングは得意なはずです。
「こんな複雑な長文を聞いてまねできるの?」と子どもの能力にびっくりさせられるほど、
小さいときに英語をたくさん聞き、リズム感が体に溶け込んでいる子なら、難しくないことなのです。
そしてシャドーイングが上手にできるようになったら・・・
耳のよさだけでなく、話す方=発音も上達していることでしょう。
目からの学習(文字を見て理解する)の方が得意なお子さんもいます。
教室では小学校2年生くらいから、フォニックス(音と文字との関係学習)の学習が始まります。
耳からの学習に加え、目からも発音のルールを学ぶことで、理解はより深まり、
きちんとした発音を身につけていくと同時に、正しく書く、ということにもつながっていきます。
発音が苦手・・・とお悩みの方、不安な方は、個別にもご相談うけたまわっていますので、
気軽におたずねください。